為替相場は、5波動構成の衝撃波と3波動構成又はその変形の修正波で、波のように寄せては返しながらトレンド方向に進んでいきます。
そのうち、トレンド方向に大きく進んていく時に現れるのが衝撃波(インパルス)です。トレードでは、この衝撃波を狙うのが最も勝率が高く、また大きな収益を上げるポイントとなります。
一方、修正波は幾つかパターンが複合で現れてくるため、エントリーポイントを掴むのはなかなか難しく、また値動きも小さくなることが多く効率的ではありません(狙えるのはジグザグのみ?)。
エリオット波動の衝撃波は、その多くで1.3.5波のいずれかがエクステンションしてきます。その現れる場所の違いによって、1波延長型衝撃波、3波延長型衝撃波、そして5波延長型衝撃波の3つの種類に分けられます。今回は、この3つの衝撃波の特徴とその狙いどころを掘り下げてみます。 この特徴をマスターしておけば、きっとトレードの勝率は上がると思いますよ。
「エリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめ」をご覧いただいてから読み進めていただくと分かり易いと思います。
衝撃波の現れるポイント
上は、エリオット波動においての波動展開イメージです。 1~5の5波動でトレンド方向に大きく進み、a~cの3波動(又はその変形で5波動などもある)で押し目を付けます。※修正波には幾つかのパターンがあります。ここではジグザグ(5-3-5)を入れています。
そして、エリオット波動はフラクタル構造になっているため、このひとつ下の段階も5波動と3波動又はその変形の構成となります(逆にひとつ上の段階は1波又はa、2波又はbとなります)。
上のイメージのひとつ下の段階を確認すると、為替相場は5波動の衝撃波と3波動の修正波を繰り返しながらトレンド方向に進んでいるのが分かると思います(この衝撃波が確認できれば、どちらの方向にトレンドがあるのかが分かるようになります)。
つまり、トレードチャンスである衝撃波は、その内部波動の1.3.5波動も衝撃波であるわけです。少し分かり難いかもしれないので、実際のドル円週足FXチャートでこの構造を確認してみましょう。
ドル円週足チャートのインパルス
上はドル円週足FXチャートです。 5波動の衝撃波で上昇して、3波動の修正波で押し目を付けています(こうしてみると現在のドル円の長期トレンドは上であると言えます)。
エリオット波動はフラクタル構造になっているので、この衝撃波のひとつ下の段階の1.3.5波動も衝撃波となっているはずです。
5波動目がエクステンションした衝撃波であるため、内部波動の5波動目は衝撃波であることが確認できますが、1波動目が衝撃波であることがはっきりとは確認できません。しかし、時間軸を落として日足FXチャートで見るとしっかりと衝撃波を展開しています。
ここまでで、衝撃波内部波動の1.3.5波動目も衝撃波であるということがお分かりいただけたと思います(さらにひとつ下の時間足や分足もフラクタル構造で、同じように1.3.5波動目が衝撃波になっていますよ)。
トレードは、この衝撃波を狙っていきます。どの段階の衝撃波を狙うかは、そのトレードスタイルによって変わってきますが、大きな段階になればなるほど収益が大きくなるのはいうまでもありません(週足>日足>時間足>分足)。
エリオット波動の衝撃波には3つの種類があります。このドル円週足チャーの衝撃波は5波動目延長型衝撃波です。そのひとつ下の段階の衝撃波は、それぞれ1波動目が3波延長型衝撃波、3波動目が1波延長型衝撃波、そして、5波動目が3波延長型衝撃波を展開しています。
この3つの衝撃波のそれぞれの特徴をマスターすると、トレード勝率は上がっていくと思います。
最も現れる3波延長型衝撃波
上は3波動目延長型衝撃波のイメージです。為替相場において、最もよく現れる衝撃波は、この3波延長型衝撃波です。その名の通り衝撃波の3波動目が延長(エクステンション)したインパルスで、3波動目の値幅が一番大きくなります。
チャネルライン沿いに展開していくという特徴があり、最も狙いやすい衝撃波です。3つのチャネルラインを使いながらトレードを行うことで勝率は各段に上がっていくようになります。
※3つのチャネルラインについては「チャネルラインはこの3つを使え! 引き方と目的まとめ」をご覧ください。
修正2波動目は深くリトレイスしてくるという特徴があり(3波動目内部波動は短いリトレイスになることが多く、また下降衝撃波2波動目は短いリトレイスになることもある)、この修正2波動目を充分に引き付けてからエントリーするか、3波副次波1波の高値(□)ブレイクでエントリーするのが理想的(格言「エリオット波動は3波(c波)を狙え!」)。
利益確定のポイントは、3波動目の終点(1.618倍がひとつの目安ですが、ひとつ上の段階が衝撃波のエクステンションしている波動である場合など、2.00倍、2.618倍、3.00倍、そして4.00倍と大きくなることもあります)や、5波動目の終点(2-4チャネルの1波ラインタッチや全体衝撃波の0.382の区分が目安)となります。
3波動目が1波動目の1.618倍を実線で越えてきた場合には、利益確定を5波動目まで引っ張るといった戦略や、3波動目で一部利確などの戦略があります。
次に、この3波延長型衝撃波を実際のFXチャートで見てみましょう。
ドル円3波延長型衝撃波
こうしてみると、3波延長型がチャネルライン沿いに進んでいるのがよく分かります。内部波動の3.5波動目、また拡大フラット「3-3-5」c波の衝撃波もチャネルライン沿いに進んでいます。
そして、それぞれの衝撃波は2-4チャネルの1波ラインタッチで終わっており、利益確定のポイントであることが分かります。
目標を達成するために現れる5波延長型
上は3波動目延長型の次によく現れる5波延長型衝撃波のイメージです。この衝撃波は5波動目がエクステンションしてくるインパルスです。暫定の5波動目終点(□)を上抜けてくることから判断することになります。3波動目でそれほど大きくトレンド方向に進むことができなかった場合に、目標到達のためによくこの5波動目がエクステンションしてきます。3波動目が小さい場合には(3波動目が小さいと言っても必ず1波の1.00倍以上にはなります)、5波動目がひょっとすると延長してくるかもしれないと考えるようにしておく方がいいかもしれません。
また、関連通貨の影響や、ひとつ上の段階の目標ポイントに到達するためにエクステンションしてくることもあります。
エクステンションしてくるかどうかは分からないため、利益確定は3波動目の終点や暫定の5波動目の終点です。エクステンションしてきた場合には、その時に再エントリーするのがいいのではないでしょうか。
5波動目延長型衝撃波は、4波動目の安値付近(高値付近になることもある)で0.618で区分されることが多く、このポイントが最終的な利益確定ポイントになります(又は5波動目の内部波動の2-4チャネル1波ラインタッチ)。
最初のドル円週足FXチャートは5波延長型でしたが、それ以外の5波延長型を見てみましょう。
ユーロ円5波延長型衝撃波
上はユーロ円為替相場のFXチャートに現れた5波延長型衝撃波です。3波延長型衝撃波を5波動目に内包しています。波動の大きさが5>3>1>で、エクステンションした5波動目が一番大きな値幅になっています(衝撃波のルール「3波動目は一番小さなはどうにならない」もしっかり守られています)。
衝撃波の終点は、4波動目の安値で0.618で区分されるポイントと2-4チャネルの1波ラインタッチが重なるポイントになっいるのが確認できます。このような重複するポイントはいつも強力な反転ポイントになります。
ルール破れがよく現れる1波延長型衝撃波
上は1波延長型衝撃波のイメージです。1波動目がエクステンションするこのインパルスは、波動が1>3>5の大きさになり1波動目が強烈にトレンド方向に進んでいきます。1波動目が大きな押し目を付けることなく大きくトレンド方向に進んだ場合には、1波延長型衝撃波の可能性が高くなります。
トレンド最後の衝撃波が目標のポイントを大きく行き過ぎた場合(その場合V字反転になる)、トライアングルなどのフォーメーションからの1波動目、そして週足などの大きな段階の注目ポイントなどにこの1波延長型衝撃波は現れてきます。
エリオット波動には、1波と4波重複しないという衝撃波のルールがあります。しかし、FXでこの1波延長型衝撃波が現れた場合、よくヒゲの部分が重複してしまいます。3波動目の大きさがそれほどでもないので、レバレッジをかけるFXでは仕方ないのかもしれません。
1波動目延長型の3波動目と5波動目はそれほど大きくトレンド方向には進まないので、1波動目の終点で利益確定しておくという戦略がよく使われます(その場合、時間軸を落としてひとつ下の段階の2-4チャネルタッチなどで利確する)。
また、3波~5波の大きさが1波の大きさの0.618倍になる特徴があり、そのポイントで利益確定するという戦略もあります。
ドル円1波延長型衝撃波
1波動目上昇で、大きな押し目もなくトレンド方向に大きく進んでいるのが分かります。また、3波→5波の大きさは、理想的な1波動目の0.618倍となっているのが確認できます。
以上、3つの衝撃波の特徴をまとめてみました。衝撃波が現れるポイントを予測して、いいタイミングでエントリーしてみてください。きっとトレードの勝率は上がってくると思いますよ。
※エリオット波動の波の数え方は「エリオット波動の数え方! 精度を上げるカウント手法」をご覧ください。
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