エリオット波動 C波を狙うトレーディング



よく「頭と尻尾はくれてやれ」という為替用語が使われます。

この用語は、トレンドの始めと最後は売り手と買い手の激しい攻防ポイントで、急激な反転などのリスクがあるので、そういうポイントでのエントリーは避けて、トレンドがハッキリと出ているところでトレードしましょうという意味です。

たしかにトレード経験の少ない方は、このようなポイント(エリオット波動の3-3)でのエントリーを心がけた方がいいのではないでしょうか。

しかし、ある程度の経験を積んだ後は、トレンドの頭からエントリーすることをお勧めします。

なぜならトレンドの頭からのエントリーは、一般的に考えられているほどのリスクはなく、うまく波に乗れれば大きな見返りが得られるからです。

こちらをご覧になる前に「エリオット波動を学ぶための完全マップ/基礎から応用までのまとめ」をご覧頂くと分かり易いと思います。








C波(3波)を丸ごと狙うために必要な知識と手法



一般的なエントリーと利確ポイント

一般的なエントリーイメージ
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一般的に、もっとも安全とされているエントリーポイントと利確ポイントで、左側が修正波、右側は推進波です。

直近の高値をブレイクしたポイント(緑丸)でエントリー、A波、又は1波の1.00倍に達したポイント(赤丸)で利益確定です。

なぜ1.00倍なのかというと、修正波のC波はA波の1.00倍なることが多いからです。

しかし、FXの時間足や分足などの小さな段階のC波動は、1.272倍や1.618倍になることが多く、またエントリーした波動が修正波ではなく推進波であったならば、尻尾の多くの部分を捨ててしまうことなります。

1.00倍では、利益部分が少なく効率のよいトレードとはお世辞にも言えません。

また、高値ブレイクのエントリーは、拡大フラット修正のダマシに合うことが多く、たとえエントリーに成功したとしても、頭の大部分を捨ててしまうことになります。


上の図のようなエントリーと利確ポイントは、大きな段階(週足や日足)であれば、ある程度の利益を確保できると思うのですが、小さな段階(時間足や分足)では、あまりにも利益を出すことができません。

たとえ大きな段階であれば利益を得られるにしても、週足や日足ではそのようなトレードチャンスはなかなか訪れるものではありません。



リスクを回避するために「頭と尻尾はくれてやれ」といいますが、トレンドの最初と最後にはどのようなリスクがあるのでしょうか。






トレンドの始めと終わりに潜んでいるリスク



トレンドの頭と尻尾には、それぞれリスクがあります。

尻尾には、トレンドがどこまで続くか分からないなどのリスクがあります。

まだまだ大きく伸びる(推進波)と予想したものの、実際はそうはなく(修正波)、利確が遅れてしまい収益を減らしたというのは誰しも経験があると思います。

尻尾のエントリー手法は「5波を狙って収益を上げる手法」を参照してください

頭のエントリーもそれなりのリスクがあります。


頭からのエントリーは、一般的には逆張りということになります。

つまり、勢いよく進んできている波に逆らってエントリーすることなり、エントリーポイントを間違えれば、波にさらわれて大きな損益を出してしまうリスクがあります。

しっかりと終点の予想を立てて、適切にエントリーすることが求められます。




トレンドの終点を見抜くための作業



頭からエントリーするためには、まずトレンドの終点を掴まなければいけません。

波動使いの強者は、以下の作業でトレンドの終点をピンポイントで見抜いていきます。






トレンドの終点を見抜くイメージ図
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トレンド展開が推進波(5波動構成)なのか、又は修正波(3波動構成)なのかによって、終点の予測方法は違ってきます。

まず、そこまでの波動の流れや、ひとつ上の段階(1時間足なら日足)の波動を確認して、どちらのトレンド展開なのかを判断します。


推進波のケース

トレンドの終点は、チャネルを使う手法が効果的です。多くの場合、推進波はチャネルラインに沿って上昇していき、5波動目の終点は2-4チャネルの1波ライン、又は3波ラインタッチで終点を迎えます。

推進波の場合、この終点付近ではRSIのダイバージェンスが発生するので、終点のサインとして大変重宝します。

また、推進波は通常の3波延長型であれば、4波の安値で38.2に区分されることが多く、このフィボナッチ黄金比率も大変使える手法です(5波動目延長型は61.8で区分される)。

できれば最後の5波動目をひとつ下の段階(1時間足なら5分足)でチャネルを使いながらカウントすると、さらに終点予測の精度は上がっていきます(波動使いの強者は、これを使う)。


修正波のケース

修正波は、そのパターンも多く、判断が難しいのですが、修正波の中でリトレイス幅が大きくなるジグザグ修正を例に上げて説明します。

修正波のCは、Aの1.00倍、1.272倍、1.618倍で終点を迎えることが多く、1.618倍にタッチすれば、そこが終点になる可能性が高くなります。

もし、1.618倍を勢いよく超えてくるようであれば、その波動は3波構成の修正波ではなく、5波動構成の推進波の可能性が高く、再度そこまでの波動の経緯や、ひとつ上の段階の波動を見て、カウント間違えがないか確認してみてください。







C波(3波)を狙ってエントリーするタイミング


トレンド終点の予測ができれば、後はどこでエントリーするかです。

推進波のトレンド終盤は、勢いが弱くなっていることが多いのですが、修正波の終盤は、勢いが強いことが多いのが特徴です。 おそらく、推進波への進展を信じているトレーダーによるものだと思われます。

波動使いの強者は、トレンド終点で逆張りを仕掛けていきます。  ただ、この手法はリスクがあり、よほど終点の確証があるときでない限りお勧めできません。

もし、終点でなければ波にさらわれて大きな損失を被ることになります。

慌ててエントリーしなくても、B波(又は2波)は大きく修正してくることが多く(50~100のリトレイス)、結局トレンド終点近くまで戻ってくるからです。





まず、ひとつ下の段階の推進波を確認する


エントリーイメージ
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予測していたポイントから狙い通り反転してきた場合、慌ててエントリーするのではなく、まずその反転がひとつ下の段階の推進波になるを確認します。

上の図は、左側が大きな段階で緑丸のポイントで底を打ち反転してきたところです。右側の図は、赤点線部分をひとつ下の段階にしたものです。

※この手法は、エリオット波動のフラクタル構造を利用したもので、様々な段階で活用できます。 週足なら日足、日足なら時間足、30分足なら1分足などいろいろな組み合わせを試してみてください。

このひとつ下の段階で、できるだけ綺麗で大きな推進波(ボリンジャーバンドの±2αタッチが理想的)が確認できた場合は、トレンドの終点予測が正解であった可能性が出てきます。

しかし、この上昇が3波止まりである場合は、下降推進波が終了していない可能性や(どこかがエクステンションしているなど)、修正波で反転したとしても、3-3-5のフラット系で、トレードには適していません(修正波で狙うのは、大きな反転が期待できる5-3-5のジグザグがベスト)。 エントリーを見送った方がよいでしょう。




ABC修正の終点でエントリーする


ひとつ下段階のイメージ
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ひとつ下の段階で推進波が確認できれば、いよいよエントリーポイント探りの最終段階となります。※ひとつ下の段階の推進波は、ひとつ上の段階の1波、又はA波になります。

推進波を確認できれば、その推進波に対する修正波動(abc波動)が終了したポイントでエントリーします。

通常、修正2波動目は押しが深くなることが多く(50.0~100のリトレイス)、慌てずしっかりと修正3波を確認してください。

ジグザグ修正ならば、5波→3波→そして最後5波を確認してからエントリーとなります。

フラット修正ならば、3波→3波→5波です。 フラット修正の場合は、最初の3波でabc修正が終わったと間違えないようにしてください(拡大フラットのダマシにも注意)。

この付近になると、トレンドの勢いは既に弱くなっており、一気に波にさらわれるリスクもかなり小さくなっています。


トレンド転換しているのであれば、ここからのエントリーは「逆張り」ではなく、「順張り」であり、理想的なエントリーポイントといえるのではないでしょうか。

また、エリオット波動では、2波の終点は1波の安値を下回らないというガイドラインがあり、この1波の安値を下回ったラインが損切りのラインとなります。 リスクは最小限です。

※ただし、FXでは小さな段階になればなるほど、レバレッジや他通貨の影響から、行き過ぎが起こりやすくなり、ヒゲの部分だけ下回ってくることがあります。

また、エントリーポイント付近に一目均衡表の雲や、60分フィボナッチPivotのサポートライン、ボリンジャーバンドなどがあればリスクは少なくなり、合わせてオシレーター系のRSIなどを確認することで、さらにリスクは少なくなります。


ABC修正パターン


しかし、abc修正には様々なパターンがあります。

その代表的なパターンとして、1.ジグザグ修正(5-3-5)、2.フラット修正(3-3-5)、3.拡大フラット修正(3-3-5)、4.複合型修正などがあります。

※これらのパターンには、それぞれリトレイス幅などの特徴がありますが、ここでの説明は省略させていただきます。 

修正2波の特徴は、1波のフィボナッチ比率50.0~79.0のリトレイスが多く、100.0のリトレイスもよくあります(小さな段階は100.0のリトレイスが意外に多い)。

また、ほとんどが単純なabc修正となります(上の図の上段3つ)。






C波(3波)の利益確定ポイント




うまくエントリーした後の上昇波形を確認


推進波イメージ
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小さな段階でうまく上昇の波に乗れた後は、ひとつ上の段階にチャートを戻し、利確ポイントを探っていく作業に入ります。

最初に書いたように、尻尾にはトレンドがどこまで続くか分からないというリスクがあります。ここで利確ポイントを間違えてしまうと、せっかくの利益が半減しかねません。

大事なポイントは、その後展開がABC修正なのか、又は5波動構成の推進波なのかを適切に判断することです。

見分けるコツは2つあります。

ひとつ目は、そこまでの推移を確認してみることです。 例えば、推進波に対する修正段階で、3波→3波→ときているならば、次の波動はフラット系修正の最後の5波動推進波である可能性が高い(形によってはトライアングルの可能性もある)といったものです。

ふたつ目は、ひとつ上の段階の現在地を確認してみることです。

ここでの1時間足チャートで考えるならば、ひとつ上の日足チャートで、波動の流れを確認すると、今後の展開がABC修正なのか、又は5波動構成の衝撃波なのか予め判断がつきます。




ABC修正である場合


ABC修正であるならば、利確ポイントは、C波がA波の1.00倍、1.272倍、1.618倍に達した時が利確ポイントになります(ABC修正の確信があるならば、1.618倍までまびた場合、迷わず利確)。

この判断も、ひとつ下の5分足の推進波の波形をみて判断すれば、終点近くのベストなタイミングで利確できるようになります。



推進波である場合

推進波である場合には、多くの3波は1.618倍にタッチするまで大きくなります(ひとつ上の段階の波動も推進波の3波に入っている時は、2.618倍、3.00倍、4.00倍まで大きくなります)。

トレードスタイルにもよりますが、ひとつ上の段階の波形で上昇があまり見込めない場合には、この1.618倍で一度利確して、4波修正後に再度エントリーをする方が資金の回転効率がいいかもしれません。

しかし、ひとつ上の段階の波形で衝撃波を展開している時は、大きなチャンスです。

そのひとつ上の衝撃波が終了するまでホールドしておいた方が良いでしょう(かなりの見返りがあると思いますよ)。

推進波で大きく上昇していくときには、上の図の右側の2つのパターンを展開したあとに、これと類似したパターンが現れて、この繰り返しにより、波のように上昇していきます(参考までに)。








C波(3波)トレーディングまとめ


一般的にリスクがあると思われているトレンドの頭と尻尾は、エリオット波動のフラクタル構造のひとつ上の段階や、ひとつ下の段階を意識することにより、その多くを解消することができます。

ひとつ上の段階の波動を意識しながら、ひとつ下の推進波を確認した後のabc修正でエントリーすれば、リスクは最小限となります。

また、推進波や修正波の展開特徴を理解することにより、大きな利益が得られるようになっていきます。

この手法は、フラクタルを利用しているので、スキャルピングやスイングなどのあらゆるトレードスタイルに対応しています。 ぜひ、みさなんも一度試してみてください。