エリオット波動の一時的な行き過ぎ




エリオット波動を使うようになって様々なチャートのカウントを見てきましが、時代や市場、そして波動の段階によってチャートに違いがあり、それぞれ特徴があることが分かります。


つまり、数十年前のチャートと現在のチャート、為替や先物市場等のチャートと現物市場のチャート、大きな段階のチャートと小さな段階のチャートなどの違いです。

このような違いは何処に起因するのでしょうか。

現在の為替相場は、通貨の組み合わせが増えて自動売買(EA)もかなり普及してきました。また、日本では規制が入ったとはいえ、大きなレバレッジをかけて取引されるようになってきています。 

このような現在の傾向がチャートに大きな影響を与え、違いを作り出しているのではないでしょうか。


話はかわりますが、最近「エリオット波動の行き過ぎ(ルールの破れ)」についてのメッセージをいただきました。

エリオット波動のルールは絶対的なもので、ルールの破れなど無いと思っている人も多いのではないでしょうか。

日本ではエリオット波動があまりメジャーではないからかもしれませんが、残念ながらこのエリオット波動の行き過ぎを取り上げた記事をネット上で見つけることはできません。

そこで、今回は「エリオット波動の一時的な行き過ぎ」について考えてみたいと思います。







エリオット波動の一時的なルールの破れ


エリオット波動の一時的なルール破れを認めるか、認めないかはとても大事な問題です。 なぜなら、この違いによって波動のカウントが全く違うものになってくるからです。


エリオット波動の推進波のルール



エリオット波動の推進波のルールはとても簡単なものです。

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上の図は、エリオット波動推進波のイメージです。

ルールは3つ。

1. 2波動目の終点は、1波動目の始点を下回らない

2. 1波動と4波動は重複しない(4波の安値は、1波の高値を下回らない)

3. 1.3.5波動の中で、3波動目が一番小さくなることはない


この中で、よく行き過ぎが起こるのが1と2のルールです。


そもそも、このルールは絶対的なものなのでしょうか。



レバレッジによる行き過ぎ


エリオット波動の熱心な研究者であるA.Jフロストやロバート.R.プレクターは、「エリオット波動のルールは、レバレッジをかけられる市場においては価格の一時的な行き過ぎが起こる」と発表しています。

日本だけではなく、世界的に問題となっているのが為替相場のレバレッジで、海外の投機筋は信じられないほどの大きなレバレッジをかけて取引してきます。

つまり、現在の為替相場において、このレバレッジの影響により、エリオット波動の行き過ぎが起こる可能性はかなり高くなってきているといえます。




小さな段階の行き過ぎ


エリオット波動の産みの親R.N.エリオットの時代のチャートは、自分の手で作成していくのが一般的だったようです。エリオットも、日足や1時間足チャートを手書きで作って、そこから波動原理を見つけ出したそうです。

現在の取引ツールは、MT4などの大変優れたツールが用いられ、30分足や5分足、そして1分なども簡単に確認できる時代になってきています。

つまり、ひと昔前より、より小さな段階の波動を確認できるようになってきているわけです(フラクタル構造を利用して)。

先程のレバレッジによる影響からくる行き過ぎは、当然、段階が小さくなればなるほど、その影響も大きくなり、5分足などでは波動の一時的な行き過ぎがさらに起こり易くなってると考えられます。




各通貨間の連動からの行き過ぎ


昔と違い、現在は通貨の組み合わせも増えて、様々な通貨のトレードが出来るようになってきています。

それと共に自動売買(EA)も普及してきて、現在では一般投資家が自分でEAを作成してトレードできるまでに進歩してきました。

最近の値動きの顕著な特徴として、このEAによる各通貨間の連動があります。このコンピューターによる自動売買はタイムラグがほとんどなく、ほぼ同時に連動してきます。

たとえば、ドル円がエリオット波動のルールのギリギリのラインに位置している時に、ユーロドルで突発的な動きがあれば、ドル円に一時的な行き過ぎが起こる可能性が高いわけです。


また、FX会社のトレード環境は年々よくなってきており、スプレッドは昔と違いかなり狭く設定され、逆指値などの注文も簡単に設定でき、またトレードツールもMT4などプロ顔負けの仕様となってきています。

この垣根が下がったことにより、近年は一般の個人投資家の数がグッと増えてきています(ミセスワタナベさんなど)。

スキャルピングやデイトレードを行う個人投資家は、割と近くに逆指値を入れ置くことが多く、損切りの連鎖から突発的に大きく価格が動くことも多くなりました。

これらもエリオット波動の一時的な行き過ぎに影響しているかもしれません。


以上のように、現在の為替相場は「エリオット波動の一時的行き過ぎ」が起こり易い環境になってきているようです。

では実際にどのような行き過ぎが起こっているのか確認してみましょう。





ドル円為替相場のヒゲの行き過ぎ


個人的に、時間足以下ではエリオット波動のルールを一時的に破れることは頻繁に起こっていると考えています。

しかし、その行き過ぎはあくまでも一時的な行き過ぎであり、その多くはヒゲの部分のルール破れになります(実線のルール破れも稀に起こると考えています)。


ドル円4時間足チャート

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直近のドル円為替相場においても一時的な行き過ぎが起こっています。

上のチャートはドル円為替相場4時間足3波動目延長型の推進波ですが、2波動目の終点が1波動目の始点をヒゲの部分下回っています(青丸)。

為替相場の修正2波動目は、小さな段階になればなるほど一時的な行き過ぎが起こる傾向が強くなってきています。

このような行き過ぎは、時間軸が小さくなればなるほど起こりやすく、この推進波のさらに小さな段階の5分足や1分足でも行き過ぎが起きていました。



ドル円為替相場の実線の行き過ぎ

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上のチャートはドル円為替相場の1波動目延長型の推進波です。この推進波では、ヒゲではなく、実線の一部まで行き過ぎています。

複合修正4波動目の内部波動Wが、1波動目と重複しています(たしかユーロ円が突発的に下落した影響で行き過ぎたと記憶しています)。

※その他、3波動の内部波動の2波もヒゲの部分が行き過ぎています。





一時的な行き過ぎの判断


このようなエリオット波動のルール破れは、突発的な原因によるあくまでも一時的な行き過ぎであり、為替相場にそれ以上その方向に進んでいく力はなく、エリオット波動の示す方向に急反転して、その後は通常の波動展開に戻っていきます。

では一時的な行き過ぎはどのように判断すればいいのでしょうか。



ひとつ上の段階の波動と前後の経緯から柔軟に判断する

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エリオット波動の行き過ぎで最近顕著に目立つのが、修正2波動目のルール破れです。

そもそも修正2波動目は、投資家の疑心暗鬼からリトレイスが大きくなるのが特徴で、100%近くリトレイスしてくることはよくあります。

つまり、修正2波動目はエリオット波動の行き過ぎが起こり易い波動といえます。

上のイメージ図は、修正2波動目でヒゲの部分が行き過ぎる、小さな段階(5分足)でよく起こるパターンです。



ひとつ上の段階を確認してみる

このような行き過ぎが起こった場合、まずひとつ上の段階(ここでは1時間足)を確認してみることで、一時的な行き過ぎをある程度判断できます。

ひとつ上の段階で上昇推進波の後の修正局面であるならば、トレンドの方向は上なわけです(3-3-5の最後の5など、違う場合も有り)。



その後の波動展開を確認してみる

ヒゲを付けた後の波動展開を確認すると、一時的な行き過ぎの判断の精度はさらに上がります。

上の図では、ヒゲを付けたあとに推進波を展開していることから、一時的な行き過ぎである可能性が高いと考えられます(ヒゲを付けたあとの推進波を、チャネル、内部波動、フィボナッチ比率でしっかりとチェックしてください)。


以上のように、エリオット波動の一時的な行き過ぎは、ひとつ上の段階の確認や、波動の展開の流れから判断できるようになります(直後の判断は難しいかもしれません)。









エリオット波動のルール破れまとめ




現在の為替相場は、レバレッジや、EAの普及からくる他通貨間の連動などの影響からエリオット波動の一時的な行き過ぎが起こり易い環境になってきています。

このような状況においては、エリオット波動のルールを絶対的なものと考えるのではなく、ある程度柔軟に対応していくことが求められているのではないでしょうか。






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